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バイクにも「雹害車」はある?

雹害(ひょうがい)とは空から降ってきた雹(ひょう)によって生じるさまざまな被害のことを指しますが、時にはバイクを傷つけることもあります。

今回の記事ではバイクに起こる雹害や対策方法についてご紹介します。

クルマの中古車市場における「雹害車」とは

近年ゲリラ豪雨など天候の急変が各地で発生するようになってきていますが、それに伴って雹の発生頻度も増加しています。

雹は発達した積乱雲の内部で成長した氷の粒で、直系5mm以上を雹、5mm以下をあられと呼んでいます。

ですが最近では5mmでは留まらず1cm〜5cm、大きいものではゴルフボール大のサイズにまで成長する場合があり、固く大きな氷の塊が時速100kmを超える速度で降ってきますので地上にあるさまざまなものに被害を与えます。

その筆頭が自動車で、突然の雹に見舞われると車の窓ガラスを割ったり、雹がボディにぶつかると大きな凹みが生じてしまい、雹で被害を受けた車を「雹害車」と呼んでいます。

降雹(雹が降ること)はゲリラ豪雨以上に予測不可能な災害であり、車に乗っていて突然降る雹を避けるのはかなり困難なため、車の任意保険には雹害による被害を保証するプランもあるほどです。

雹害車となった車には凹みやキズ、各所の破損が見られるため事故車のような扱いを受けてしまい、雹害車のままで中古車買い取りに出しても大幅に減額されることがほとんどです。

また修理するとしても窓ガラスの交換や破損部品の交換、凹んだボディの修理と再塗装などで何十万円もかかりますので、修理するにしても売却するにしても大きな被害となります。

加えて雹害が大きい車のルーフに大幅な修理を行った場合には「事故車」扱いされる場合があり、結局事故車で中古車価格が下がるのであればそのまま中古車市場に出品されます。

中古車市場にはたまに雹害車が出品され通常より数十万円安くなるのですが、必ず車の各所に被害が及んでいて正常な状態でないのは注意しなければなりません。

バイクの中古市場に雹害車がない理由

車と同じくバイクも突然の降雹を受けやすい乗り物ですが、意外とバイクの雹害車は流通していません。

降雹が起こる前には黒雲が発生したり大気が不安定になるなど前兆はありますが、ゲリラ豪雨は想定できても雹が降るとはまさか思わないものです。

車なら雨は防げますがバイクの場合はゲリラ豪雨でライダーの体が濡れてしまったり安全な走行が難しくなるので、雨宿りをして結果的に雹害を回避できる可能性が高まります。

また雹が降ってきたら車よりも素早く移動できますので、急な降雹にも対応しやすいのがバイクです。

それでもバイクに雹が当たれば車と同じく各所の破損や凹みが発生しますので、バイクにも雹害車が生まれることはあります。

ですが実際バイクの中古車市場に雹害車が出品されることはかなり稀で、普通にバイクの購入を検討する際には雹害車を見かけることはないといってよいほどです。

バイクに雹害車がほぼないのは車よりも被害部分の修理が行いやすいためで、被害を受けた部品交換が比較的容易であり、車のように事故車扱いになることもないので少ないのです。

雹で傷つきやすいバイクの部品は?

バイクの場合には車と違う部分に雹害の影響が起こるのですが、次のようなバイクの上側にある部品に被害が及びます。

燃料タンクの凹み

バイクは車のように金属製のボディはありませんが、その代わりに雹害を受けやすい部品として燃料タンクがあります。

スクーターを除いたバイクは燃料タンクがライダーの足の間に配置されるのが一般的で、金属製のタンクが露出した形となります。

燃料タンクは頑丈な板金性の部品なので多少の力では凹まないのですが、さすがに大きな雹が衝突すると凹みが発生します。

凹み程度では燃料漏れに発展することはありませんが、タンク表面が汚くなったり塗装が剥がれたりしますので、雹害の目立つ箇所となります。

ですがバイクは転倒などによってもタンクの凹みが発生するため凹み修理を行える修理業者は多く、雹害対策を行いやすいです。

またタンクの凹み程度であれば中古車価格が多少下がる程度で収まりますので、中古バイクとして十分売れる状態です。

メーター、ライト、樹脂部品の割れ

バイクの部品にも車の窓ガラスのように割れやすい部品があり、メーターやライト、樹脂部品などが雹害を受けやすいです。

まずメーターやライトはバイクの部品では数少ないガラスを一部に使用しており、メーターパネルの表面やライト表面に雹がぶつかると割れが発生します。

メーターやライトはバイクの1番上に位置しており、走行中には斜め前から雨が振り込んでくるため、雹害も同様に起こりやすい部分です。

もしメーターやライトに割れが発生したときには部品全体の交換や一部交換で修理することができ、比較的簡単に原状回復することが可能です。

またバイクにはボディの一部やカウル、スイッチ類、ウインカー、ブレーキランプなどには樹脂部品が使われていますが、これらも雹害を受けると割れる可能性が高いです。

ですがこれらの部品も交換が容易な部分であり、バイク部品で割れが発生しても修理によってしっかり元の通りになります。

カウル付きバイクのカウル割れは交換が大変で費用もかかりますが、大幅な割れでなければ補修することも可能です。

シート表皮の破れ

バイクの上側にある部品で意外と被害を受けやすいのがシートで、雹害によってシート表皮に破れが発生する場合があります。

バイクのシートはスポンジ等の柔らかい内張りに外側は合皮などで覆われた構造をしており、多少重たいものが乗ったり物をぶつけたとしても柔らかく受け止めてくれます。

ですが降雹は非常に速い速度で氷の塊がぶつかりますので、当たりどころによってはシート表皮が切り裂かれてしまう場合があります。

シート表皮は意外と交換が簡単な部位であり、カスタマイズにシート表皮交換があるほどなので、雹害を受けたシート表皮は思い切って好みのものに取り替えてしまうのもよいでしょう。

雹害の対策方法

バイクの雹害を完全に防ぐのは難しいものがありますが、被害を最小限にするためには何よりバイクの機動力を活かして雹の当たらない場所に避難することです。

バイクでの走行中に突然の降雹を予測することなどできませんが、降雹の始まりとして体やバイクに小さな衝突音が聞こえてきたらすぐにライダーだけでも避難できる場所を探しましょう。

バイクへの被害も大変ですが、なにより柔らかい体を露出させているライダー自身への被害が一番の懸念点であり、ケガをしないうちにバイクを置いてでも近くの店舗やビルなどに逃げ込みましょう。

その際に可能であればバイクも一緒に避難させると被害を軽減させることができます。

ガソリンスタンドや立体駐車場、地下駐車場などがバイクごと逃げ込みやすい場所です。

また自宅の駐車場や駐輪場などにバイクを停車させている場合には雹害を防ぐためにバイクカバーが有効ですが、通常の薄いカバーでは雹がカバーを破ってしまいます。

厚手の生地で防水、防塵、耐熱性などを持っているバイクカバーを使いましょう。

まとめ

雹害はある日いきなり発生して大きな被害をもたらす災害であり、バイクや車に大きなダメージを与えてしまいます。

車の場合には雹害を受けるとその後にも影響するのですが、バイクでは修理による対処が行いやすいので雹害車などはほとんど生まれません。

最後に繰り返しますが雹害に一番弱いのはライダー自身であり、バイク自体の雹害は後々の修理で対処できますので、雹が降ってきたら自身を守ることを優先してください。

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