バイクが「修復歴あり」になってしまうのは、どのような修理?
バイクは安全に乗っていればとても楽しい乗り物ですが、不意の事故によってバイクが破損してしまうことがあります。
そういったバイクは「修復歴あり」のバイクになることがあり、たとえバイクが問題なく動いていても修復歴は買取の際などに不利になることがあります。
本記事では、どのような種類のバイクに修復歴が付くのかを解説します。
全ての修理が「修復歴」の対象になるわけではない
バイクの「修復歴」とは文字通り修理を行ったことのあるバイクを指すのですが、実はどんな修理でも修復歴扱いとなるわけではありません。
ここでいう修復歴は主にバイクの売買に対して規定されているものであり、タイヤ交換のような細かな修理は基本的に含まれておらず、フレームのようなバイクの基幹部品に対する修理の有無を指します。
逆に言えばこの部品以外の部品に対して修理や交換が行われていたとしても修復歴ありとはなりませんので、注意が必要です。
バイクの構成部品の中で最も複雑なものはエンジンですが、エンジンについても別のエンジンに換装していても修復歴にはなりません。
ただしいくら修復歴がないからといってそのバイクが完調である証明ではなく、あくまでバイクを構成する最も重要な箇所に関する規定となります。
「修復歴あり」になってしまうケース
修復歴の規定は社団法人自動車公正取引協議会が二輪自動車公正競争規約集の中で定めてあり、これによると修復歴とは次の3部品の修正および交換歴を指します。
・メインフレーム
・ハンドルストッパー
・シートレール
この3つの部品はバイクの最も中核的な部品となっており、故障や事故によって修理や部品交換が起こった際にはそのバイクは「修復歴あり」として扱われるのです。
フレームの修復
フレームはメインフレームとも呼ばれる部品で、バイクの骨格にあたる部分です。
メインフレームはバイクのさまざまな部品を取り付けるベースとなる部分で、ハンドルやフロントフォーク、リアサスペンション、エンジンなどを固定する部品となります。
フレームの構造や形状はバイクごとに違うのですが、共通しているのは骨格ということで頑丈で合成の高い部品ということです。
そのフレームはちょっとした事故による衝撃を受けても大丈夫なのですが、強い衝撃や力を受けるとフレームの変形や歪み、一部の破断などの破損を受けることがあります。
フレームが変形したり歪んだりしているとバイクはもはや正常な走行が不可能な状態であり、無理に走行するとさらなる事故を引き起こしてしまう可能性もあるので危険です。
フレームの変形や歪みの修正は専門の職人が行っても完全に修正するのはなかなか難しいものであり、可能な限り修正を行ってもその後に問題が起こることもあります。
さらにフレームの大きな破損に至ってはフレーム全体の交換が必要な事態であり、そこまで行くとバイクを廃車にしてしまうことも少なくありません。
バイクのフレームの修復歴というのはこういった修正の難しい骨格部分の修理であり、修理されていたとしても正常なバイクでないこともあるので買取業者が注意するポイントです。
またフレームにはバイクの個体を示す番号が記されていて登録されていますので、フレームの交換については交換後にはバイクの再登録が必要であり、手続きの有無やバイクの状態に不具合がないかなども気になる部分です。
フレームの修復歴の有無は正常なバイクを見分けるための大きなポイントなので、売買の際にも注視される部分です。
シートレールの修復
シートレールはバイクのライダーが座るシートを支えているサブフレーム部分で、バイクのメインフレームに固定、もしくは一体で構成される部分となります。
シートレールはバイクの中央から後部にかけてのフレーム構造部分であり、シートレールにシートを取り付けた上でライダーがまたがる箇所です。
シートレールは一般的にはメインフレームに溶接で固定されているため、構造的にはメインフレームの一部なのでメインフレームの修理時に一緒に修理する場合もあります。
ただし一部のバイクではシートレールがボルト等でメインフレームに固定される構造もあり、こちらは独立したシートレール部品が修復歴の対象になります。
シートレールはメインフレームの補強や剛性確保などの役割があり、事故の際に変形や歪み、破損が起こるとメインフレームの問題と同様正常なバイクの走行ができなくなります。
また乗員が座る重要な箇所でもあり、破損したままでは安全な乗車ができないので修理が必要となります。
シートレールは、メインフレームに比べれば修理は行いやすい部分ではありますが、やはり正常なバイクかどうかを見極める箇所なので修復歴ありなしが売買時のポイントになります。
ハンドルストッパーの修復
ハンドルストッパーはメインフレームからハンドルにつながる部分のフレームの一部で、ハンドルの切れ角を決定する部分です。
ハンドルストッパーの役割はバイクハンドルを切ったときに燃料タンクにぶつからないようにすることで、ハンドルストッパーでハンドルの一部を止めることで切れ角が決定されます。
バイクで事故を起こした際には正面衝突事故が多くなりますが、その際にフロントタイヤやフロントフォークなどを激しく衝突させているとその力がハンドルストッパーに伝わることになります。
その結果ハンドルストッパーに変形や歪み、破損を引き起こし、ハンドルやフロントフォークが曲がった状態のバイクになるので、バイクがまっすぐ走ったり曲がるときに障害を引き起こします。
またハンドルの切れ角が左右でズレてしまうこともあり、操縦安定性に問題が起こりますので修理が必要となります。
ハンドルストッパーは主にメインフレームに溶接で固定されている部分ですので修理はフレームと一緒に行ったりしますが、不完全な修理になってしまうと、バイクの走行が不安定になり危険なので売買業者が注目するポイントになっています。
その他フレームやシートレールと違って比較的外側に露出している部分なので、ハンドルストッパーのキズや打痕から転倒や事故の有無を疑われる部分にもなっています。
修復歴のあるバイクでも売却は可能?
バイクに修復歴があるということは、そのバイクが激しい損傷を受けたことを意味し、買取時や購入時にはそのバイクは要注意の1台となります。
ですが修復歴があったとしてもバイクの売買ができないわけではなく、きちんと申告を行えば通常通り買い取ってもらえる場合がほとんどです。
もちろん修復歴やバイクの状態に応じて査定額は正常なバイクよりもマイナス査定が多めになりますが、バイクを廃車にしてしまうよりは何倍も良いでしょう。
バイク買取業者の中には不動車や廃車寸前のバイクでも買取を行うところもあり、修復歴ありでも稼働状態にあるバイクであれば買い取ってもらえる公算は大きいでしょう。
ただし修復歴ありのバイクを売却する際には必ず修復歴について正直に申告する必要があり、修復歴を隠してしまうと後からトラブルに発展してしまうこともあります。
修復歴はバイクの中古販売業者が正確に把握しなければならない項目であり、あとから発覚したときには、最悪の場合取引中止や返金などに発展してしまうこともあるので、誠実な対応を心がけましょう。
まとめ
バイクの修復歴とは、バイクの中心的な構成部品3種類に対する修理もしくは交換を行った際につく履歴で、バイクの売買の際には要注意ポイントになります。
バイクに修復歴が付くのはほとんどが事故によるものなので、修復歴があるということはバイクの機能や性能に問題を抱えている可能性を考えざるを得ません。
修復歴が付いたバイクでも売却自体は可能なことが多いですが、買取額などには不利な条件にはなります。
それでも買取不可となることは稀ですので、修復歴ありだからとあきらめず通常のバイクの売買同様に査定を依頼するとよいでしょう。
その際には修復歴があることや修理、交換部分について正確に申告を行い、透明性のある取引を行いましょう。