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酷暑迫る!大型バイクはオーバーヒートに注意

バイクはとてもお手軽に外出できて、これから夏を迎えるに当たってお出かけや旅行の相棒になってくれる乗り物です。

ですがバイクは気温の高い夏場はオーバーヒートを引き起こすことがあり、症状がでても放置していると、バイクの故障につながることもあります。

そこで本記事では夏場のバイクにおけるオーバーヒートの危険性をご紹介します。

2024年の夏は平年を超える暑さになる見込み

近年夏場の暑さは非常に過酷なものになりつつあり、「酷暑」と呼ばれるのも残念ながら例年のことになっています。

2023年は夏場に全国的な猛暑となり、あちこちの地方で観測史上最高気温を記録するなど非常に暑い1年でした。

最高気温が40℃を超える地域も数多くあり、猛暑日が1ヶ月弱続くなど異常気象の影響がより強く表れるようになってきています。

そして2024年についても去年と同様、もしくは去年を超える猛暑日となる見込みで、40℃以上の酷暑を経験する地域も出てくるでしょう。

バイクで出かけるのは暖かい時期ほど楽しいものですが、夏場の猛暑や酷暑の中では常にライダーは直射日光にさらされるのでとても大変です。

走行中であれば走行風がありますので多少は涼むのですが、一度信号などで停車すると一気に空気が滞留し、信号待ちの間は地獄のような暑さに包まれるのです。

しかし辛いのは実はライダーだけではなく、バイク自体も夏場の暑さの中では厳しい状況に立たされているのです。

バイクにおける「オーバーヒート」とは

バイクが高い気温の中で走行していると「オーバーヒート」という現象が起こる場合があります。

オーバーヒートは簡単に言うと、バイクの心臓部でもあるエンジンが異常な熱で不具合をきたす現象です。

オーバーヒートとはエンジンが自ら発生させる熱を外部に放出しきれなかったときに起こり、エンジンが想定以上に過熱してしまうことでさまざまな不具合が起きやすい状態になります。

エンジン内部ではガソリンなどの燃料を爆発的に反応させておりそのエネルギーの一部が熱となるのですが、正常なエンジンはこの熱を外部に放熱する機構を備えており、一定以上の温度にならないように調整する機能があります。

エンジンの設計時には走行時のエンジン温度を100℃〜200℃ぐらいに収まるような冷却設計を行っており、その想定温度で耐久性をもたせられるように部品の材料や膨張時の部品同士のクリアランス確保を行っています。

しかし想定以上に熱を持ってしまうと、例えば上下運動をするピストンなどが膨張したり、エンジンオイルの効果が低下したり、ゴムや樹脂製の部品を劣化させてシール性が悪化したりと、悪影響が多いのです。

最終的にはエンジンの焼付きや部品の変形によって故障に至ってしまい、エンジンブローで破損し使用不可となることがあります。

そのためバイクのオーバーヒートは可能な限り早急に対処しなくてはならず、オーバーヒートの予兆もライダー自身が察知しなければなりません。

オーバーヒートした時の対処法

バイクのオーバーヒートは発生する前の前兆や実際に発生した状態が把握しづらいもので、オーバーヒートの状態をあらかじめ理解していないと気づけません。

車でもエンジンのオーバーヒートは起こることがあるのですが、最近の車の場合エンジン冷却水の温度を測定して異常があれば即座にドライバーに伝えるシステムが完備してあるので、オーバーヒートが発生する直前の状態を把握しやすいです。

しかしバイクの場合には複雑な安全システムがそなわったバイクは少なく、空冷エンジンの場合エンジンの温度を把握する手段がありません。

水冷エンジンであれば水温計ぐらいはありますが、これもライダーが水温計をしっかりチェックしておかなければわかりませんので、どの状態がオーバーヒートなのかを把握するには経験も必要です。

ただしオーバーヒートが発生するとバイクの挙動には変化が表れるので、走行中に急に次のような現象が発生してきたらオーバーヒートを疑う必要があります。

・バイクの加速が鈍くなる、スロットルを開いても加速しない

・バイクのトルクが減少し、坂道を登りにくくなる

・エンジンから「カリカリ」という異音が聞こえる

これらはエンジン内部のピストンやその他の部品が異常な熱量で変形などした結果で、エンジン出力が通常通り発揮できないことで急にバイクの動きが鈍くなった感じを受けます。

またカリカリという音はエンジン内部で燃料が異常燃焼する「ノッキング」が発生している証で、高い熱量でガソリンが設計より早く燃焼して衝撃音が伝わっているのです。

もしこういった現象を少しでも感じたときには即座にバイクを路肩などに停車させ、エンジンを停止して冷却させる必要があります。

ただし、エンジンを急に冷やすために水などを掛けるのは厳禁です。

これは急な温度変化でエンジンの金属部分が破損してしまうことがあるためであり、エンジンを停止させた状態で自然に冷えるようにする必要があります。

大型バイクがオーバーヒートしやすい理由

オーバーヒートはバイクの種類によっても起こりやすい、起こりにくいなどあるのですが、バイクの排気量は大きく影響する点です。

オーバーヒートはエンジン内部の熱量が設計の想定よりも多くなったことで起こるものであり、エンジンの熱量が大きい、大排気量の大型バイクで多く見られます。

大型バイクには600cc、1000ccなど車に匹敵する大排気量エンジンが搭載されており、エンジン熱量の増加に合わせて冷却系は水冷となっている場合が多いです。

そのため基本的にエンジンの冷却システムは強力であり、もともとの発生熱量が大きなエンジンですがその分水冷ラジエーターの効果でしっかり温度管理を行っています。

しかし、水冷システムにもトラブルが起こることがあり、冷却水の減少やラジエーターの歪みや破損での性能低下、冷却水通路の詰まりなどが起こることでオーバーヒートにつながる可能性はあります。

また、水冷システムといってもエンジンの熱を奪って温度が上昇した冷却水は、ラジエーターの受ける走行風で冷却しているで、渋滞などで長時間停車する状況が続くとやはり熱の発散が少なくなり、オーバーヒートの危険性は上昇します。

水冷エンジンの水温は普通はある一定温度に保たれるので水温計の変化はほとんどないのですが、大排気量エンジンで冷却効果が減少していると急速にエンジンの温度が上昇しますので、もしメーターにそなわっている水温計が急速に上昇したときにはオーバーヒートを疑う必要があります。

水温計の異常を認めたときには即座に路肩にバイクを駐車してエンジンを切り、自然冷却でゆっくり冷やしましょう。

ただし冷やしたあとにもう一度バイクを走らせると同じようにオーバーヒートになる可能性もありますので、できればディーラーや整備工場に持ち込むと安心です。

特に空冷エンジンの大型バイクは注意(走行風が当たらない渋滞時や信号待ちでエンジンが熱を持ち過ぎてしまうことも)

エンジンのオーバーヒートは水冷エンジンでも発生することはありますが、それ以上に注意しなければならないのは空冷エンジンのバイクです。

空冷エンジンのバイクはエンジンの冷却に水冷システムを利用せず、自然な走行風によって冷却を行うエンジンです。

複雑な水冷システムが不要なためエンジン本体の構造がシンプルとなりますので、小排気量のスクーターなどは、ほとんどが空冷エンジンとなっています。

空冷エンジンのエンジン本体には冷却用のフィンが付いており、このフィンに走行風をあてることでエンジンの熱を空気中に発散しています。

しかし、外気温が高いと発散させる熱量が減少しますし、さらにバイクが渋滞や信号待ちで停車すると走行風が無くなって一気にエンジン温度が上昇するので、特に夏場のオーバーヒートが気になるエンジンといえます。

さらに前述したように空冷エンジンはエンジン温度を把握できないのでオーバーヒートを把握するのが大変であり、猛暑日や酷暑日に運転するときにライダーがオーバーヒートを予め考慮に入れて感覚的に把握するしかありません。

そして世の中には空冷エンジンでありながら600cc〜1000ccもの大排気量エンジンというものも存在しています。

これらは最もオーバーヒートに対して注意しなければならないエンジンといえるでしょう。

まとめ

バイクは車に比べて手軽に運転できるのが便利であり、風を切って気持ちよく走れるのはバイクならではの楽しみです。

しかし、近年の猛暑、酷暑の環境下ではバイクのエンジンは非常に厳しい状況に置かれており、エンジンからの熱の発散がうまくできずオーバーヒートを引き起こす可能性が高くなってきました。

バイクにオーバーヒートが起こっているかどうかを見極める方法は最終的にライダーの感覚や注意力にかかっていますので、夏場にバイクを走らせるときには常にオーバーヒートのことを頭に置いておきながら普段と違うバイクの挙動が起こったらチェックすることを心がけるとよいでしょう。

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