
バイクのライトが淡黄色!交換する必要はないの?
一般的に、新車バイクのヘッドライトは白色の光を放っています。
しかし、旧車を見てみると、まれに白色ではなく薄い黄色のような色をしたヘッドライトを備えた車両を目にすることがあります。
こういった車両は、何かしらの違反が適用されたり、車検に通過しなかったりということはないのでしょうか。
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2005年12月31日以前に製造されたバイクのヘッドライトは、淡黄色でもOK

街中で見かけるバイクのヘッドライトは、そのほとんどが透き通るような白色の光を放っています。
これは、道路運送車両法の保安基準第120条第2項第三号に「走行用前照灯の灯光の色は、白色であること」と明記されているためです。
そんななか、ふと旧車などに目をやると、まれにヘッドライトが薄い黄色(以下、淡黄色)になっている車両に出会うことがあります。
こういった車両を目にして、「淡黄色のヘッドライトは違法ではないのか」と疑問に思う人も少なくないかもしれません。
しかし、実はすべてのバイクのヘッドライトが一律に「白色」と規制されているわけではありません。
前述した保安基準が該当するのは、2006年1月1日以降に製造されたバイクのみです。
一方で、2005年12月31日以前に製造されたバイクについては、ヘッドライトの色が白色、もしくは淡黄色であれば適合とされています。
そのため、製造年が上記に該当するバイクと判断できる場合、ヘッドライトの色が淡黄色でも車検で引っかかったり、何かしらの交通違反に問われたりするおそれはないというわけです。
もちろん、保安基準にあわせて交換する必要もありません。
かつては主流だった「黄色ヘッドライト」がなくなったのはなぜ?
以前は、黄色の光は空気中の水分に乱反射しにくく、悪天候時でも遠くまで届きやすいと信じられていたために重宝されていました。
また、対向車にとっても眩しさを感じにくいというメリットがあり、安全性重視の証として淡黄色のバルブが広く普及していた時期もあったようです。
では、いったいなぜ現在はヘッドライトの色は白色が標準となっているのでしょうか。
その最大の理由は、国際的なルールの統一にあるとされています。
かつて、フランスなどの一部の国でも黄色いヘッドライトが主流となっていましたが、徐々に欧州全体で白色へと統一されました。
しかし、日本は自動車産業が輸出入に大きく依存しているため、独自のルールに固執することは大きなデメリットとなりえます。
そこで、国際的な整合性を図るために日本は1998年に国連の「車両等の型式認定相互承認協定」に加入。
これにより、灯火類の基準も国際連合が定める国際基準に合わせる必要が生じ、日本の保安基準も白色を標準とする方向へ舵を切ったというわけです。
また、ハロゲンバルブの時代からLEDへの光源の進化も、白色化を後押しした決定的な要因とされています。
ライトが「白」でもレンズの”黄ばみ”には要注意!

なお、ヘッドライトが白色でも経年劣化によりレンズが黄ばんでしまえば、照射される光は白ではなくなります。
これは、単に見た目が悪くなるだけの問題ではありません。
たとえば、前述した2006年以降に製造されたバイクに関する法規制が、注意点として挙げられます。
レンズの黄ばみがひどいと、たとえ内部のバルブが正規の白色であっても、検査官に淡黄色のような色味と判断されれば車検不適合となる可能性も十分にあります。
さらに深刻なのが、光量の低下です。
レンズの黄ばみにより、本来路面を照らすはずの光が散らばってしまえば、前方視界が悪化して安全な運転を脅かしかねません。
ヘッドライトから「黄ばみ」を取り除くためには?
では、一度黄ばんでしまったヘッドライトは交換するしかないのでしょうか。
結論から言えば、適切なメンテナンスをおこなうことで新品に近い輝きを取り戻すことが可能です。
まず基本となるのは研磨です。
軽度の黄ばみであれば、カー用品店などで販売されているヘッドライト用コンパウンドをウエスにつけ、丁寧に磨き込むだけできれいになる場合がほとんどです。
しかし、黄ばみが進行している場合は、耐水ペーパーを使った本格的な研磨が必要になります。
1000番や1500番といった粗めのペーパーで水をつけながら古いコーティングと黄ばみを削り落とし、徐々に2000番、3000番と番手を上げて表面を整え、最後に液体コンパウンドで鏡面に仕上げましょう。
ここで注意したいのが、磨いて終わりにしないということです。
研磨によってきれいになったレンズは、元々あったハードコート層を削り落としてしまっているため、いわば裸の状態です。
そのため、そのまま放置すれば以前よりも早いスピードで紫外線ダメージを受け、数週間から数ヶ月であっという間に再び変色しかねません。
これを防ぐためには、市販されているヘッドライト用コーティング剤を塗布するなど、研磨直後の再コーティングが絶対条件です。
なお、昨今はより耐久性の高いウレタンクリア塗装をおこなったり、物理的に紫外線を遮断するヘッドライトプロテクションフィルムを貼ったりすることで、数年単位で透明度を維持する方法も人気を集めています。
また、ヘッドライトの黄ばみ対策は肌の日焼け対策と同様に、日頃の予防も重要になってきます。
たとえば、屋根付きのガレージがない場合はバイクカバーをかけるだけで紫外線の影響を大幅に減らすことができます。
とくに南向きに駐車している場合、ヘッドライトが一日中日光に晒されることになるため、カバーの効果は絶大です。
さらに、洗車の際にヘッドライトを強く擦りすぎないこともポイントとして挙げられます。
もしも砂埃がついたまま乾拭きなどをすると、表面のコーティングに微細な傷がつき、そこから劣化が始まってしまいます。
愛車の見た目を若返らせるだけでなく、夜間のライディングにおける安心感を劇的に向上させるためにも、たかが黄ばみと侮らず定期的に点検しておくとよいでしょう。
まとめ
現在では白色のヘッドライトが当たり前の存在となっていますが、そこに至るまでにはさまざまな背景が積み重なっていました。
こうした歴史やルールを理解したうえで、自身のバイクがどの基準に該当するのかを把握しておくことは、安心して乗り続けるための基本といえます。
さらに、現行モデルにおいてはヘッドライトの黄ばみや劣化が安全性や車検結果に影響する場合もあるため、日頃の点検と適切なメンテナンスが重要です。








